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経済学を学ぶための微分積分学
慶応義塾大学 戸瀬信之著

A5判 240頁
¥2,940


本書の目的は経済学を学ぶのに必要な微分積分学の内容を学ぶためにある。本書の構成は、大学1年生を対象とする初級者向けの内容と、理論経済学など数理色が強い学問を学ぶためにさらに深く微積分を学ぶ必要がある中級者むけに整理されている。初級者向けには、計算練習を多く採り入れることにより初級者が学ぶべき内容を確実に学ぶことができるようになっている。中級者向けには論理的な訓練も兼ね備えた内容となっている。また、高校のカリキュラムの内容が貧弱になってきたのを考えて、経済学部で必要と思われる基礎的な数学に関しても補足が演習の中でなされている。理論経済学の実例はあげていないが、「経済数学」を学ぶ上で必要な内容は、微積分に関する限り、そのエッセンスは全て網羅してある。

本書では、数列の収束を基本において、数列の収束に関するいくつかの基礎的な事実を下にほとんど全ての内容を積み上げてある。

第1章では数列の収束について学ぶ。初級者は数列の収束の基本的な定理に触れるだけで、後の関数の極限、連続性などで困らないように配慮されている。ここでは、基本的な定理の理解のための実例がたくさんあげてある。中級者は、ここに微積分学の基礎となる深い論理的構成を見出すことができる。すなわち、数列の収束の定義、実数の完備性をもとに全ての内容が論理的に積み上げて構成してある。この部分をよむことで、論理的な訓練がなされるように配慮してある。

第2章では、第1章の数列の収束を用いた関数の極限の定義を与える。そして後に微分と積分を学ぶために必要な、極限の基本的な性質、連続関数の定義と性質(最大値の定理、中間値の定理)、そして基本的な極限の例を学ぶ。

第3章では微分係数の計算の基本的な例をたくさん与えることから始める。そして、より多くの関数の微分が計算できるように、関数の和、差、積、商の微分の公式、そして合成関数の微分の公式、逆関数の微分の公式を学ぶ。

第4章では、第3章の応用を関数の増加減少、Taylor 展開、極値問題に関して与える。ここでは、たくさんの実例と演習を与えておいた。

第5章は1変数の積分の基礎的な内容を学ぶ。ここでは、統計学で必要な積分に関しても学ぶ。積分は実は微分より深い概念である。従って、構成もそれなりに重くなるのが自然である。初心者向けには、その概要がわかるように配慮してある。中級者向けには、コンパクトに本質が記述されている。計算実例も多く入れてある。

第6章は2変数の関数の解析法を学ぶ。初級者向けには、2次元の点列の収束を学んだ後で、偏微分法の基礎を用いて、極値問題と2変数1制約条件の場合の極値問題のLagrannge の未定乗数法を学ぶように内容が配列してある。中級向けには、将来数理経済学、ゲーム理論等を学ぶときに必須と思われる位相的な内容のエッセンスを最初に与えてある。開集合、連続関数、点列の収束、閉集合、点列コンパクト集合などの内容である。本書では2変数の留めたが、3変数以上の場合は自然に拡張が理解できるようになる。